妊娠中の積極的な摂取が推奨されている葉酸。健康な赤ちゃんを産むために、葉野菜やサプリメントなどを利用して摂取している女性は、たくさんいます。
でもご存知ですか?実は葉酸には、2種類あります。
- ポリグルタミン酸型の葉酸(天然)
- モノグルタミン酸型の葉酸(天然または合成)
聞き慣れない言葉で、少し難しいですよね。とはいえ、これは赤ちゃんの健やかな成長のためには、ぜひ知っておきたい知識です。
覚えておくと、より効率良く葉酸を摂取できるようになりますよ。ここでは、合成葉酸と天然葉酸について、わかりやすくご説明します。葉酸の摂取方法を決める時に、ぜひ役立ててくださいね。
これほどの違いが!体への吸収率
ポリグルタミン酸型とモノグルタミン酸型。どちらも同じ葉酸ですが、体への吸収率には大きな違いがあります。
具体的には、
- ポリグルタミン酸型の葉酸 → 吸収されるのは50%以下
- モノグルタミン酸型の葉酸 → 約85%は吸収される
これほどの違いがあるのです。妊娠中の女性は、1日に400μgの葉酸を摂取することが推奨されています。でも、ポリグルタミン酸型の葉酸を400μg摂取しても、体に吸収されるのは200μg以下です。摂取量の半分以上が、無駄になってしまうわけですね。
400μgを体に吸収させるためには、800μg以上摂取しなければなりません。ちょっと大変そうですよね…。それに対してモノグルタミン酸型の葉酸は、吸収率が高め。そのため500μgほど摂取すれば、400μgを体に吸収させることができます。
ポリグルタミン酸型の葉酸と比べると、とても効率が良いです。そのことから厚生労働省は、妊娠中の女性にはモノグルタミン型酸型の葉酸を摂取することをおすすめしています。
吸収されにくいポリグルタミン酸型の葉酸
そもそもポリグルタミン酸型の葉酸って、どういうものなのでしょうか?その正体は、食べ物に含まれている天然の葉酸です。
- ほうれん草などの葉野菜
- 鶏レバーなどの肉類
- えだ豆やそら豆などの豆類
これらに特に多く含まれています。食べることで摂取できますが、吸収率は50%以下。しっかりと摂取するためには、多く食べなければなりません。たとえば、そら豆には100gあたりに約120μgのポリグルタミン酸型葉酸が含まれています。
そのため400μgを吸収させるには、800g以上のそら豆を食べなければならない計算になります。いくら赤ちゃんのためとはいえ、毎日それだけの量のそら豆を食べ続けるのは大変です。
吸収されやすいモノグルタミン酸型の葉酸
次に、モノグルタミン酸型の葉酸についてご説明しますね。これは、天然のポリグルタミン酸型の葉酸を、体に吸収されやすい状態に加工したものです。
ポリグルタミン酸型の葉酸は、グルタミン酸がたくさんつながることでできています。つながっている分、分子サイズが大きいので、吸収されにくいわけですね。
これを改善するために、モノグルタミン酸型の葉酸が作られました。モノグルタミン酸型の葉酸では、つながったグルタミン酸がバラバラにほぐしてあります。
そのため分子サイズが小さく、体にスムーズに吸収されます。吸収率の高さの秘密は、ここにあるわけですね。
モノグルタミン酸型の葉酸は吸収がスピーディ
ポリグルタミン酸型の葉酸も、胃腸の中である程度は分解されます。でもそれには、長い時間がかかります。つまりポリグルタミン酸型の葉酸の場合、吸収される量が少ない上に、吸収されるまでの時間が長いということです。
それに対してモノグルタミン酸型の葉酸は、吸収がとてもスピーディ。最初からバラバラの状態になっているので、体内にサッと入り込んでいきます。
母体にはもちろんですが、赤ちゃんの体にもスムーズに吸収されますよ。また、ポリグルタミン酸型の葉酸は、赤ちゃんの体内でうまく分解されず、内臓に負担を与える可能性があります。
食事を、しっかりと噛んで食べる場合と、ろくに噛まずに丸飲みする場合とを比べると、わかりやすいです。十分に噛めば、スムーズに消化されますよね。
でも丸飲みした場合は、消化されにくく、胃腸に長く食べ物が残ります。その分内臓には、負担がかかってしまいます。
でもスピーディに吸収されるモノグルタミン酸型の葉酸なら、そのリスクは低いですよ。この点も、モノグルタミン酸型の葉酸がおすすめされている理由のひとつです。
合成されたモノグルタミン酸型葉酸
実はモノグルタミン酸型の葉酸には、2種類あります。ひとつ目は、上でご紹介した天然由来のモノグルタミン酸型葉酸です。
そしてもうひとつは、石油や化学物質から作った、合成のモノグルタミン酸型葉酸です。この合成葉酸には、価格が安いというメリットがあります。
天然由来のモノグルタミン酸型葉酸は、野菜や肉からポリグルタミン酸型の葉酸を抽出して、それをバラバラにすることで作られます。
手間暇がかかるので、その分販売価格が高めなのですが、合成葉酸なら、それほど多くの手間暇をかけずに作ることができるのです。
葉酸サプリメントのうち、安さが売りとなっているものは、ほとんどがこの合成葉酸で作られています。毎日摂取するものですから、金銭面での負担が軽くなるのは、嬉しいですね。
もちろんモノグルタミン酸型ですから、母体にもお腹の赤ちゃんにもスムーズに吸収されますよ。しかし合成葉酸の場合、原料となっている化学物質が、体内に残る可能性があります。これは、アレルギー体質の原因になるとも言われています。
そのため吸収率だけでなく安全性の高さも求める人は、天然のモノグルタミン酸型葉酸を選んで摂取しているようですよ。
まとめ:天然葉酸と合成葉酸の違いは?
葉酸には、葉野菜などの食べ物から抽出されたポリグルタミン酸型葉酸と、それを分解したモノグルタミン酸型葉酸とがあります。
モノグルタミン酸型葉酸の方が、分子サイズが小さいので体にスムーズに吸収されます。またモノグルタミン酸型葉酸には、石油などから合成されたものもあります。
これもやはり吸収されやすく、なおかつ製造の手間暇がかかりにくいため、価格が安めです。でも、原料の化学物質が体に残ってしまう可能性があります。
つまりまとめると、
- ポリグルタミン酸型葉酸(天然)=吸収率△ 安全性〇 価格△
- モノグルタミン酸型葉酸(天然)=吸収率〇 安全性〇 価格△
- モノグルタミン酸型葉酸(合成)=吸収率〇 安全性△ 価格〇
ということです。それぞれの特徴を把握して、自分やお腹の赤ちゃんにとって最も都合の良い葉酸を選んで、摂取してくださいね。