妊娠中の女性にとって、赤ちゃんが無事に生まれてくれるかどうかは、とても心配なことですよね。そのため多くの女性が、不安な気持ちを軽くするために、葉酸を摂取しています。
摂取すれば、赤ちゃんがスクスクと成長し、五体満足で生まれてくる可能性がアップするからです。「でも、そもそも葉酸って何なの?」と疑問に思う女性もいるのではないでしょうか。
妊娠中の体は、とてもデリケート。自分を守るためにも、赤ちゃんに害を与えないためにも、正体のよく分からないものは、体に入れたくありませんよね。
そこでここでは、葉酸とは一体何なのか、どのような働きをするのか、ご説明します。葉酸の基本的な情報を得ておくと、安心して摂取できるようになりますよ。
葉酸とはビタミンB群の一種です
葉野菜には、ビタミン類がたっぷりと入っていますよね。葉酸は、そのビタミン類の一種です。具体的には、ビタミンB群と呼ばれている8種類のビタミンBの中のひとつです。
葉酸は、葉野菜の中でも特に栄養価の高いほうれん草から発見されました。アミノ酸の一種のグルタミン酸が、複数結合することでできています。
- 葉野菜に含まれている
- グルタミン酸でできている
この2点から、葉酸という名前で呼ばれるようになりました。食卓に並ぶ野菜の中でも、特にメジャーなほうれん草に含まれているわけですから、葉酸は安全な栄養分と言えます。
もちろんほうれん草の食べすぎはお腹に良くありませんが、適量の葉酸は安心して摂取できますよ。
葉酸は正常な細胞の誕生を助けます
葉酸は、ほうれん草を食べることで摂取できます。では摂取した葉酸は、体の中でどのような働きをするのでしょうか。色々な働きをしますが、特に注目されているのは、正常な細胞の誕生のサポートです。
具体的には葉酸は、
- 細胞の材料になるたんぱく質
- 細胞核にあるDNA
これらの合成を助けます。たんぱく質もDNAも、赤ちゃんの成長に欠かせない、大事な存在です。
たんぱく質の合成をサポート
たんぱく質は、肌や筋肉や内臓など、人間の体の様々な部分の細胞の材料です。いずれの細胞も、多くのたんぱく質がつながることでできています。
たんぱく質が少ないと、丈夫な細胞が作られにくくなります。たとえば、コラーゲン不足は肌荒れの原因になりますよね。これは、コラーゲンもたんぱく質の一種だからです。
そのためコラーゲンが少ないと、丈夫な肌細胞もまた少なくなり、肌荒れが起こりやすくなってしまうのです。でも葉酸を摂取していれば、たんぱく質の合成が進みやすくなりますよ。
お腹の赤ちゃんは、次々に細胞を作り出すことで成長しています。赤ちゃんの肌も、筋肉も内臓も、全てたんぱく質から作られています。
そのためたんぱく質の合成は、赤ちゃんの健やかな成長のためには、とても大事なことです。その合成を助ける葉酸。妊娠中の女性は、ぜひしっかりと摂取したいですね。
DNAの合成をサポート
葉酸は、たんぱく質だけでなくDNAの合成も助けてくれます。DNAとは、遺伝情報を持っている核酸です。細胞は、この情報を基に分裂することで、自分と同じ新しい細胞を作り出します。要はコピーですね。
赤ちゃんは、お父さんやお母さんにどこか似た姿で生まれてきますよね。これは、赤ちゃんの細胞が、お父さんやお母さんのDNAを基にして作られているからです。
おじいちゃん、おばあちゃんに似た赤ちゃんが生まれることもあります。これは、お父さんやお母さんの細胞の誕生に、おじいちゃんやおばあちゃんのDNAが使われたからです。
このようにDNAは、先祖代々ずっと使われていく、一族にとってとても重要な存在なのです。妊娠中に葉酸をしっかりと摂取していれば、このDNAが正しくコピーされやすくなります。
お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんの特徴を受け継いだ赤ちゃんが、生まれやすくなるということです。
ところがDNAの合成に問題があれば、コピーにも問題が生じます。元の状態とは微妙に異なる細胞や、似ても似つかない細胞が作られる可能性が出てくるのです。
これは、赤ちゃんの先天異常の原因となることもあります。そのためDNAの正しい合成もまた、赤ちゃんの健やかな成長には欠かせない要素と言えます。
だからこそ妊娠中の多くの女性が、家族によく似た元気な赤ちゃんを産むために、葉酸を摂取しているわけですね。
葉酸は生の葉野菜から
葉酸の摂取には、ほうれん草がよく使われています。ほうれん草には、この葉酸が100g中に約200μg含まれています。
サニーレタスやブロッコリーにも含まれていますが、その量は100g中約120μgです。比べると、ほうれん草にいかに多く含まれているかがわかりますね。
ただしこれは、生のほうれん草に含まれている量です。茹でたり煮込んだりすると、葉酸は減ってしまうので、注意してくださいね。
なぜなら葉酸は、水溶性のビタミン類だからです。水溶性、つまり水に溶ける性質があるので、調理するとにじみ出てしまうのです。
たとえば、ほうれん草のおひたしです。調理の際には、茹でた後で、手でギューッと絞りますよね。この時に、水分と一緒に葉酸も絞り出されてしまいます。
これはほうれん草に限らず、小松菜や白菜、春菊でも同じです。
そのため葉野菜から葉酸を摂取する場合は、
- 葉酸が多く含まれている葉野菜を選ぶ
- 生(または軽く湯通しした状態)で食べる
こういった点に気をつけることが大事ですよ。葉野菜以外にも、鶏レバーや焼き海苔などにも多く含まれています。肉類も海藻類も妊娠中の女性にとって重要な食材ですから、栄養バランスを考えながら、毎日の食事に取り入れてくださいね。
つまり葉酸とは?
葉酸とは、ほうれん草などの葉野菜に多く含まれるビタミンB群のひとつです。葉野菜を食べることで摂取できますし、食べ物に含まれているわけですから安全ですよ。
摂取すれば、たんぱく質やDNAの合成が促されて、新しい元気な細胞が生まれやすくなります。お腹の赤ちゃんの健やかな成長につながるので、妊娠中の女性は特に摂取したい栄養分ですね。
ただし水に溶ける性質があるので、葉野菜から摂取する場合は、できるだけ生の状態で調理して食べてくださいね。